クルーズ船、2年ぶり名瀬港に 「にっぽん丸」 観光産業の回復に期待

2022年04月13日

社会・経済 

観光回復への期待も込め「にっぽん丸」を見送るあまみ大島観光物産連盟の関係者ら=12日、奄美市

商船三井客船の「にっぽん丸」(2万2472㌧、船客定員449人)は12日、奄美市の名瀬港観光バースに寄港した。新型コロナウイルスの影響から、クルーズ客船の同港への寄港は2020年2月以来、2年2カ月ぶり。県によると、同港への来年3月末までの客船寄港は同船を含め、11回の予定。観光産業の回復に期待がかかる。

 

「にっぽん丸」は10日、乗客160人とスタッフ約230人を乗せて神戸港を出発し、11日に宮崎県・油津港に立ち寄り、12日午前8時に名瀬港に着岸。乗客らは出航前に2回、鹿児島県に入る11日午後5時以降にもPCR検査を受けたほか、船内での定期的な検温やソーシャルディスタンス(社会的距離)の確保など、入念なコロナ対策を講じての来島となった。

 

港では、あまみ大島観光物産連盟(有村修一会長)による慣例の歓迎セレモニーは感染対策のため行われず、観光案内所のみ特設された。下船した乗客のうち52人は、同船のオプショナルツアー(金作原、マングローブ、北部周遊の3コース)に参加。そのほかの乗客は、案内所に置かれたパンフレットなどを片手に、徒歩や待機するタクシーに乗り込み、市内散策に出掛ける姿があった。

 

愛知県から夫婦で訪れた今井正枝さん(76)は「世界各地をクルーズで巡っている。着物が好きで、『泥大島』を持ってはいるが、奄美に来るのは初めて。ぜひ、泥染体験ができる施設を訪れたい」と笑顔で港を後にした。

 

同連盟の境田清一郎事務局長は「久しぶりに船が港に入り、高揚感が込み上げる。世界自然遺産に登録されて観光業への期待が膨らむ一方、コロナで自粛が続く現状であり、これを機に多くの観光客に奄美の豊かな自然、文化を楽しんでいただきたい。コロナが落ち着き、地元の方々と心置きなく交流できるような環境が整えば、経済への波及効果も高まると確信している」と述べた。

 

「にっぽん丸」は12日午後5時、同連盟の関係者らが見送る中、名瀬港を離岸。13日に屋久島へ立ち寄り、14日に神戸港へ帰港する。

 

15日には日本クルーズ客船の「ぱしふぃっくびいなす」が名瀬港に寄港する予定。